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ハイブリッドの難しさ。



「魔界」は、演劇、プロレス、ダンス、ロックが融合した舞台である。2014年からスタートして、2019年までで68回の連続公演を行なってきた。昨年の8月を最後のコロナの影響で休止してきたが、年内に一度、公演を行うべく準備をスタートしている。


様々なジャンルを一つの公演にというのはかなり難易度が高いものだ。


昨夜のオリンピックの閉会式を見ていて改めてそう感じた。賛否はいろいろあるだろうが、今回のオリンピックの開会式、閉会式に通じての問題は、「世界観」がなかったことだと思う。それぞれの演目が、唐突に現れて、繋がりがなくバラバラに見えてしまったことから「物語」ではなく「出し物」になってしまったことが最大の問題だと感じた。


「物語」を生み出すのに必要なものが「世界観」。


そして「世界観」とは「伝えたいこと」だ。


リオの閉会式で行われたショーには一貫した「伝えたい日本」が見えていた。しかし、今回の開会式、閉会式は、「伝えたい日本」を感じることはできなかった。


もっとも。


それは極めて難易度の高いことである。


私は作り手なので、現場の苦労もわかるので、そのことを批判する気にも、その資格もない。


規模は全く違うが、「魔界」も開始直後は相当な批判に晒された。いろんなジャンルを融合すると、単純に全てのジャンル単体よりもクオリティは落ち、とにかく「安っぽく」見える。それを払拭するには、どのジャンルよりも強烈な「世界観」を示さなければならない。


1年間、休んだ「魔界」にいかなる「世界観」を示すのか。それが今の私の課題である。


おそらくこのコロナの影響は年内は続くだろう。かつて「魔界」で可能だった手法のほとんどは使えない。その中で、「強烈」な「伝えたい世界」をいかに表現するか。


全てのジャンルや演者がその「伝えたい世界」のために存在する。


そういう研ぎ澄まされたものにしたい。


それにしても表現することの難しさをまざまざと感じたオリンピックの開会式・閉会式だった・・。





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