抽象は学びの基本である。


最近は「わかりやすく」が教育の場で共通して望まれることになっています。

ワタシは教育の場には研修講師として関わっていますが、どこでも求められるのは「わかりやすさ」。

おそらく、日本の社会全体が今、「わかりやすさ」を求めているのでしょうね。

個人的にはそういう社会に対し、非常に危機感を覚えています。

「わかりやすさ」は言葉を変えれば「具体」です。

研修であれば、「具体的な事例」をイメージできるようにということです。

すべてがわかりやすくノウハウ化されるとでもいいますか。

企業研修の事例がわかりやすいので、お話しますと、いわゆる総論を話すと決まって「そんなの知ってる」「総論は役に立たない」という感じになります。そこで、その企業に合わせた仕事の具体的なシーンにまで落とし込むと「目からうろこが落ちました」となります。

なので、我々、講師には「いかに日常のシーンに落とし込むか」ということが要求されるのですが、ワタシは甚だ疑問です。

そもそもその作業は受講者がやるべきことではないのかと思うのです。

「抽象的な事柄を具体に落とし込む」ことこそビジネスの基本であり、同時に学ぶことだと思うのです。

具体は、突き詰めると「ひとつの出来事に対する対処法」であり、それをできることは成長ではなく単なる作業です。

「最近の若い人は応用力がない」

と言いますが、応用力とは

「抽象的なものを具体に落とし込む力」

「具体的な事柄から抽象化をする力」

を指します。

つまり抽象化を理解できないことには応用力は生まれないのです。

正直なところ、若い人に限らず、年配の方もその力は相当弱くなっていると感じます。

いや。

年配の方(もちろんワタシ自身も含む)の方が低いかもしれません。

経験と知識という「具体」にとどまって、それを時代にあわせて「抽象化」できないのです。

若い人に「おっさんは昔話の武勇伝ばかり」と言われる所以はそこにあるでしょう。(よくやってしまいます・・)

抽象化できない社会というのは「幼稚な社会」です。

これが正解だ。

というのは、二元的な幼稚な発想でしかありません。

本来、我々の生きる世界は複雑です。

正解でもあり、間違いでもある。

そういう答えは無数にあります。

よく研修で「正解はなんですか?」と聞かれますが、正直なところ「それを考えるのが学びだよ」です。

ただ、そういうことを教える研修プログラムが少ないのも事実。

これはワタシ自身の反省でもあります。

なので。

現在、「いかに抽象化する」ということを「楽しく学べる」プログラムを開発しております。

「抽象化」にとって一番いい教材は「歴史」です。

少しづつ実験的にワタシが担当させていただく企業研修のプログラムの中に入れていきたいと思っております。

この抽象化の問題については、エンタテイメントの世界にも影響があるので、次回はそのことにも少し触れたいと思います。


 Akihito manabe profiel: 

 

研修講師、演出家、脚本家、小説家、作詞家

1968年生まれ

大学卒業後、大日本印刷、吉本興業を経て独立。

「演出」にフォーカスしたコミュニケーションプログラム「アクトレーニング」を開発。教育機関、企業などで幅広く講師活動を行う。

​一方、独特の感性でエンタテイメントビジネスでもハイブリッドエンタテインメント「魔界」の総合プロデュースなどを行う。

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