「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」を音読して。
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」
森岡毅著
森岡さんの著書をはじめて読ませていただきました。
おそらく大学生もしくは若手のビジネスマンに書かれたものを、50歳になった人間が読むのは(しかも音読)少し気が引けたのですが、大変勉強になりました。
マーケティングの入門編としてはこれほどわかりやすいものはないように思います。
森岡さんの真髄は数字を駆使したロジカルなマーケティング手法ですが、本作では、数字のロジックは極力押さえて、マーケティングの根本的な考え方を明瞭に平易な言葉で伝えてくれています。
なんとなくわかっているような気でいたマーケティングに対する認識が、根本でズレていることがよくわかりました。
特に私は「魔界」というエンタテインメントショーをプロデュースしており、森岡さんのUSJで行ったマーケティングの様々な事例は大変参考になりました。
細かい施策については、条件や環境、使える予算など、簡単に応用できるものはほとんどありませんでしたが、「顧客になにを伝えるか、なにを価値とするか」という点にはハッとさせられました。
エンタテインメントで制作に関わっていると意外に思考が事実ベースにとらわれてしまうもので、手法やジャンルにこだわって肝心の顧客に与える「感情」というものを忘れてしまいがちです。
顧客にとってのエンタテイメントの価値は「感情」です。
森岡さんはマーケターとしてその「感情」にフォーカスして戦略を立てたからこそ、ハリウッド映画のテーマパークからキャラクターテーマパークに変換できたのです。(この戦略の転換を意味がわからないと嘲笑する向きが当時、色濃かったのを覚えています。かくいう私もそのひとりでした・・)
このことを理解できただけでもこの本の価値は私にとってかけがえのないものです。
森岡さんも本作の中で書かれていましたが、マーケターを目指す人でなくとも、いやマーケターでない人こそこの本を読むべきです。
エンタテイメントに携わるものとして強いインスピレーションを与えてくれた一冊でした。
次は森岡さんの真髄ともいうべき「確率思考の戦略論」に触れてみようと思います。
