世界史とつなげて学べ超日本史
世界史とつなげて学べ超日本史
茂木誠著
世界史と日本史をつなげるというコンセプトは非常に重要なことだと思います。
本書にも書かれていますが、日本人は歴史的にも地理的にも世界の大陸と海を隔てているため、グローバリズムに対する意識が薄いところがあります。
歴史の授業も世界史と日本史をわけて行ったり、専攻を変えたりできるので、この傾向はさらに強くなっていると思います。
昨今は特にグローバリズムについての必要性が叫ばれていますが、グローバリズムの正しい知識は、まず歴史で日本と世界のつながりを勉強することが一番ではないかと思います。
その意味で本書は、非常にわかりやすく時系列で日本と世界の関係が描かれており初心者にやさしい内容となっています。
人気のある戦国時代は日本が最も世界とのつながりが激しかった時代であり、日本人の質が西欧化している時代ともいえます。
いわゆる江戸時代に見られる日本的価値観と相反する時代なので、(それを確立したのは、戦国時代を勝ち抜いた徳川家康であるというところもおもしろいですが)第二次世界大戦後、西欧に憧れる我々の心に魅力的にうつるのかもしれませんね。
やや残念なのは、明治の日本が再び急速にグローバル化していく過程があまり描かれていなかったことです。
明治維新の混乱と、西欧化のためにとられた施策なのどは、いい面、悪い面含めて、現代の我々にとって示唆深いものになると思うのですが、そのあたりは茂木先生の次作に期待したいと思います。
歴史好きな人もそうでない人もぜひ読んで欲しい一冊です。
