教養としての宗教入門
教養としての宗教入門
中村圭志著
世界の宗教と現代における新興宗教やカルト、スピリチュアルカルチャーまで幅広く網羅した一冊です。
本編と同じくらいの分量で、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、神道、儒教道教の解説がなされています。
バランスよく世界の宗教を学ぶには適切な一冊と言えます。
この本の独特な視点は宗教を「薄い宗教」と「濃い宗教」の二軸に分けていることです。
日本はよく「無宗教」と言われますが、著者の中村先生の視点では、日本は決して無宗教とは言えず、その生活様式の中に宗教的な行動が(初詣、七五三、還暦の祝い、お盆など)違和感なく取り入れられており、ただそれが意識としては宗教的意識が「薄い」だけであると書かれています。
そしてその「薄さ」はキリスト教国家と言われる欧米諸国、中東のイスラム諸国でも同じだとも書かれています。
またその「薄さ」はスピチュアルカルチャーとして現代の表出し、またその反動としての「濃さ」が原理主義や新興宗教として現れているのが現代世界での宗教だと言えます。
この辺りの視点は納得できる素晴らしい視点だと感じました。
そして「薄い」理解と同時に「濃い」宗教的傾倒も決して少なくならないという点も人間というものの思考原理を理解する上では非常に興味深い点として印象に残りました。
宗教の勉強は、すなわち人間の社会生活への理解や組織への依存や貢献を理解する最適であり重要な教養だと最近は痛感しています。
宗教というと少し身構えてしまう人には、ぜひ宗教を教養として触れる最適な一冊だと思います。
ぜひご一読を。
