9年間の魔界の余韻はやはりいつもより長く心身に残っていました。今年のはじめは、魔界をまずは定期的に安定させて公演を行うという目的で、魔界を終えるという発想はまったくありませんでした。どちらかというと、100回目にどうやってたどりつくかを考えていました。
終了を決めたのは、前回公演の最初の全体リハーサルの時でした。まぁ、いろんな理由はあるのですが、どちらかというと後ろ向きというより前向きな理由です。「続けることが目的」ではなく「広げることを目的」にしよう。それが一番大きな理由です。
また、公演という形に囚われすぎないようにしようとも思いました。「広げる」には表現方法も含まれています。終了を決めた段階では、来年、前半の会場を押さえていたこともあり、新シリーズという形で公演を行いますが、その先は違うスタイルも模索する予定です。
そんな経緯があり、本来は音楽劇として、少ない人数で音楽ライブを中心に行う予定だった12月の公演を急遽、本編扱いにして、内容も魔界の最終回にふさわしいものにしました。
魔界としては初めての劇場ということもあり、いつもより難易度の高い公演でしたが、スタッフ、演者、そして観客の皆さんの熱気と一体感によって、魔界のショーとしてのある意味、目指すものができたのではないかと思います。
特に最後の「魔界大戦」の光景は、まさに私の目指すものでした。
魔界は、理由なく戦うものたちの物語です。不条理で不合理で矛盾に満ちた世界です。それは現実世界を象徴的に映し出すものです。我々は時に理由なく争い、その不毛さに打ちひしがれながらも生きていく。しかし、それに流されることなくあらがい続ける。鶴姫に代表されるその姿は、われわれがこの現実世界で生きていく共感を生んでいければと考えていました。
10年でなく9年で物語を終えてみて、10年目が新たな一年目になることの意味の大きさを噛み締めています。
1月26日には新シリーズがスタートしますが、そのお話はまた次回に。
まずは9年間の日々に感謝したいと思います。
魔界よ。
ありがとう。
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